わが国は今、ご高承のとおり、青少年による凶悪犯罪の増加、あるいは国家社会に貢献すべき企業の不祥事多発など、国民のモラルが著しく低下してきております。これは、景気の長期低迷によるものばかりでなく、すでに半世紀以上に及ぶ戦後教育が愛国心や忠孝の精神を置き去りにしてきたことにも原因があるのではないかと存じます。

政府も、「日本人としてのアイデンティティ」重視の観点から教育基本法の見直しに入っておりますが、「国家社会が直面している課題の解決に民間サイドから貢献する」ことを経営理念に掲げております弊社といたしましては、微力ではありますが、「今こそ取り戻せ、日本人の心!」をモットーに、時代村という日本の歴史と文化に触れることのできる施設を利用して、民間の立場から「日本人の心」を育みたいと発心いたしました。

歴史を顧みますれば、江戸時代には庶民の教育機関として「寺子屋」が全国に普及しました。そこでは、「読み、書き、算盤(そろばん)」といった基本的な素養を学んだことにとどまらず、徳川家康公が普及を図った儒教の教えと武士道精神、すなわち礼節や義理、人情、忠孝心などという、人が社会で生きていくうえでの規範を教わりました。そして、そのことが「日本人の心」という、日本人の生き方の根底をなす美徳につながっていたのではないかと存じます。

その寺子屋にはじまる、江戸時代の人々が理想とした礼節や規範を今改めて真摯に学びますれば、現在の日本から失われてしまった「日本人の心」を取り戻せるのではないでしょうか。こういう理念のもと、今回、時代村のなかに江戸の智恵と美徳が楽しく学べる「社会学学問所」を開設することにいたしたものです。

皆様方のご理解、ご支援を賜りますれば、幸甚に存じます。
 
野口 勇
 

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